孤児院で育った少年・ハルと死神呼ばわりされている検死官・ウィルフレッドの物語。ヨーロッパ風ファンタジーという設定ですが、出だしから物語に引き込む力はさすが。違和感無くこの世界に入っていけます。ハルとウィルフレッドの出会いは偶然ですが、その後の二人の関係が、ともに孤独と過去を抱えている、という共通点からか、いい関係に変化していきます。ウィルフレッドは堅物ながら生真面目で優しく、ハルは快活で生意気ですが繊細さも併せ持つ少年。そんな二人は些細な喧嘩から、相当の痛手を負いますが、その事件で互いの想いに気づきます。色恋には鈍い二人なので、この事件が無かったら進展しなかったかもしれませんが、あんまり後味のいい事件ではありませんでした。ウィルフレッドが検死官、ということもあり、やや事件めいたミステリ風(と言うには安易過ぎる展開ですが・苦笑)の展開になっていますが、そんな中で無口なウィルフレッドの些細な感情の変化が見られるのは楽しいです。
あとがきを読むと続編があるような風ですが、ウィルフレッドの過去がまだまったく明かされていないので、ぜひとも続編ではそこのところを書いていただきたい。大人の不器用で真面目な男が、少年にメロメロの姿は、可愛くて素敵です。イラストとタイトルが、このお話をビシッと決めているのも追記しておきたいところです。