迎えてくれる瀬崎のまなざしはとても優しいのに、自分であって自分ではない「美並」を見つめているようで…。失われた2週間に、その間の自分自身に怯え、不安を募らせる慎也。ピアニストとしての彼自身のトラブルにそれらが加わって、迷い悩む様子が丁寧に描かれていきます。慎也がそれらを乗り越えた時…。
私自身は音楽に関してはさっぱりなのですが、この作品を呼んだ時に慎也のピアノの音が聞こえたような気が一瞬、しました。叶うものなら、聞いてみたいとさえ思ったくらいです。きっと素敵な音色なんでしょうね。
どうでもいいが作中、高級料亭に突如として現れるリビングルームが気になる。どっかに移動したのかと何度も読み返してみたが、高級料亭にリビングと寝室・バスルームもある。病院の特別室にもリビングが登場する。あるのか、あるんだな…、そうそう、あるんだよ。そう思いつつもなんとなく最後まで釈然としなかった。社運のかかったプロジェクトはどうなったんだろう?とかツッコミどころは多々有れどそれもまた楽しい一冊。